患者の尊厳を守るためのケア方法

誰もが一人の人間として尊重される権利、尊厳を持っています。病気などで入院した患者や、介護が必要となった高齢者の方にも当然のことながら人間としての尊厳があります。しかし、入院や要介護状態などにより、自由に活動できなくなった人の尊厳が損なわれるようなケースが多いのが現状です。そこで看護師は、ケアを行う際に相手の尊厳を損なわないよう、十分注意して関わっていくことが大切となってきます。尊厳を守ることとは、身体面や精神面、社会面の尊厳です。

身体面は病気やケガ、機能低下、能力低下などを防ぐことが挙げられます。誤嚥や褥瘡が発生する、叩いたり抓ったりする、トイレを我慢させる、過剰な介助などは尊厳を損なっていることになるでしょう。また、精神面は痛みや不安、怒りなどを感じさせないことです。騙したり、無視したり、バカにしたりするなどは避けなければなりません。そして、社会面では社会的権利の剥奪や経済的損失を防ぐことが挙げられます。選挙権を行使させない、効果のないケアをするなどが尊厳を損なっているでしょう。これらを防ぐべく、看護師は医師と患者、その家族の間で架け橋になる必要があります。そのためには、患者に寄り添いって信頼関係を築くことが大切です。医師が説明したことに対して何かわからないところはないか尋ねたり、心配なことはないか尋ねたりすることで、患者とコミュニケーションがとれて信頼関係が築けるようになります。